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人生、それは日々の積み重ね

海への讃歌 vol.45 ~ロタブルー回顧録 02 ロタホール~

 世界有数の透明度を誇ると言われるロタの海へ、2004年3月に訪れました。「ロタブルー」と呼ばれるその海は、どこまでも明るく、そして青かったです。良い表現方法とは言い難いですが、まるでブルーの入浴剤入りのお風呂に入っているような、そんな感じでした。二日間6ダイブと短い滞在でしたが、コンディションも良く、納得のダイビングが出来ました。

 画像は全てオリンパスC-5050ZOOMを使用し、ワイドはドームレンズで撮影しております。必要に応じてトリミングを施したものや、多少コントラスト等に手を加えたものもあります。


468467_1590515284.jpg   468467_1856474446.jpg

セカンドダイビングはロタNo.1ポイント「ロタホール」です。
二カ所ある入り口の狭い方から進入して行くと、
海の色が濃いブルーから明るいエメラルドグリーンに変わり、


468467_2475566805.jpg   468467_4019130842.jpg

そしてさらに進むと上から太陽の光が射し込んでいる場所が見えてまいります。
そこで思わず上げてしまう、言葉にならない感嘆の声。


468467_1273367891.jpg   468467_2170922590.jpg

まるでここから天に召されるような、とても神聖なものを感じました。
今まで潜ったどのホールよりも素晴らしかったです。


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  1. 2006/02/15(水) 14:59:32|
  2. 海への讃歌
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海への讃歌 vol.44 ~ロタブルー回顧録 01 松運丸~

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 世界有数の透明度を誇ると言われるロタの海へ、2004年3月に訪れました。「ロタブルー」と呼ばれるその海は、どこまでも明るく、そして青かったです。良い表現方法とは言い難いですが、まるでブルーの入浴剤入りのお風呂に入っているような、そんな感じでした。二日間6ダイブと短い滞在でしたが、コンディションも良く、納得のダイビングが出来ました。

 画像は全てオリンパスC-5050ZOOMを使用し、ワイドはドームレンズで撮影しております。必要に応じてトリミングを施したものや、多少コントラスト等に手を加えたものもあります。



shoun01.jpg

ロタでのファーストダイビングはポイント「松運丸」にエントリー。



shoun02.jpg

透明度は50メートルをゆうに超えており、
水面から水深約30メートルの砂地がはっきりと見えてました。



shoun03.jpg

そのどこまでも続く砂地に威風堂々と鎮座する沈船は、
高さ10メートル以上、長さは約100メートルと迫力満点で、
海のワイド感を味わうにはもってこいのポイントです。



shoun04.jpg

この「松運丸」は第二次世界大戦中に撃沈された輸送船で、
運良く戦死者はいないとのことでしたが・・・合掌。



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  1. 2006/02/14(火) 15:08:06|
  2. 海への讃歌
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海への讃歌 vol.43 ~知らぜらるサンゴの楽園~

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スギノキミドリイシの大群生 ミドリイシ科
撮影場所 和歌山県串本町 串本海中公園 
               海中展望塔手前 水深 約5メートル
撮影日 2004年2月12日
撮影器機 カメラ:OLYMPUS C-5050ZOOM 
     ストロボ:SEA&SEA YS90DX×2灯 
     レンズ:INON UWL-100ドームレンズユニット 
マニュアル撮影 f:5.6 ss:1/60



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  1. 2006/02/13(月) 19:21:37|
  2. 海への讃歌
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海への讃歌 vol.42 ~トウアカ、3年半ぶりの再開~

トウアカクマノミたちとイボハタゴイソギンチャク

撮影場所 沖縄本島「山田ポイント」 水深約20メートル

撮影機材 カメラ=オリンパス・C-5050zoom

ストロボ SEA&SEA・YS90DX

レンズ=INON・ UWL-100ドームレンズユニット

マニュアル撮影 f:6.3 ss:1/100


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 みなさま、遅ればせながら、明けましておまでとうございます。大変ご無沙汰しております。前回のメルマガから約8ヶ月、私は変わらず和歌山県は田辺にてダイビング業を生業としております。そしてこの度、「FILM PROJECT 和=yawara=」と題してホームページを開設しました。2004年を迎え、この業界に一生身を捧げるつもりの私もそろそろ本格的に将来に向けて動き出そうと考えており、ホームページの開設はその第一歩なのです。みなさま今後とも本当によろしくお願い致します。さてこのメルマガ、ひさびさとなりまして、私のペンを走らせる、もとい、キーボードを打つのにどうも肩に力が入りすぎてしまい、なかなかうまく書ける自信がないです(もっとも、今までうまく書けていた訳でもないんですが・・・)。そんな訳ですのでどうか我慢して最後まで読んで下さい。

 昨年の12月、久しぶりに沖縄に行ってまいりました。私にとって沖縄(とくにケラマ諸島)は、この仕事を再開する(病気のため2年間、かたぎの仕事をしておりました)きっかけとなった大切な所で、個人的にはどの海よりも思い出深く、私にとって聖地とも呼べる海であります。ですが逆にその事がネックとなってしまい、気安く行ってはいけないようなそんな感覚になっておりました。今回再び行くことになったのは、ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、私の勤めているダイビングサービスの社員研修(あくまで研修!)という事で、最初は仕方なくと思ってましたが、これを機会に沖縄に行くという事に変なプレッシャーがなくなればいいなという気持ちになり、最終的には快く行くことができました。ほんと、自分で考えてもへんな奴ですよ、私は・・・

 行った場所は那覇から車で約1時間の沖縄本島恩納村で、実は沖縄本島をほとんど潜ったことのない私にとってはなかなかに魅力的な海でありました。サンゴはさすがにあまり期待していませんでしたが、それを補って余りあるほどの地形が堪能できました(陸は残念ながら本島ということもあり、自分が今まで感じてきた沖縄をあまり強くは感じませんでしたが・・・)。そして今回のメルマガはそんな海で私が最も出会いたかった「トウアカクマノミ」をご紹介します。



d-42-toaka02.jpg

 最近、映画「ファインディングニモ」ですっかりノンダイバーの人にも知られるようになったクマノミという魚、日本ではそのニモのモデルであるカクレクマノミを始め、6種類のクマノミの仲間が見られるのですが、そんな中でこのトウアカが最も数が少なく、さらに観察していて最も飽きのこないクマノミと言えると思います。簡単に説明しますと、まず共生するイソギンチャクがイボハタゴイソギンチャクとほぼ100パーセント決まっており、さらにこのイボハタゴイソギンチャクの生息環境が浅場の砂地のみということで、沖縄といえど港湾整備や環境を無視したリゾート開発のために砂地が激減してしまい、このイソギンチャクの住める環境が少なくなってきているのです。そんな訳でトウアカクマノミを見られる所は今現在ずいぶん限られているというこもよく耳にします。

 そして、そんな事を知ってか知らずかこのトウアカ、他のクマノミと比べて自分の住処に対する執着心が強いことが観察の結果分かっております。実は今回のメルマガの題名にもありますように、私は3年半前にケラマ諸島で初めてこのトウアカと対面したのですが、その時の彼らの行動は今も強く印象に残っております。

 ・・・1999年7月27日・・・私が彼らを見つけ遠くから見ていると、彼らはせわしなくあちこちを行ったり来たりしていました。それは住処であるイソギンチャクの掃除でした。彼らは砂や小石がイソギンチャクに少しでもかぶろうものならあわててそれらをくわえ、結構離れたところまで(2~3メートルはあったと思います)捨てに行っていたのです! それからしばくしてそれを終えると、お次はそばにあった、少し中身のでている砕けたウニに近づき、それを食べるのかと思いきや、ウニの中身を口にくわえて住処であるイソギンチャクに運んでいるのです! あとで知ったのですが、自分たちよりもまずイソギンチャクにエサを与えているということだそうです。これらのあまりに面白い行動に(トウアカにとって面白いとは何事か!と怒られそうですが)もっとよく見てみようと近づくと、今度は私に向かって突進してくるではありませんか! 威嚇行動は他の魚にも見られることとはいえ、あまりにその攻撃が他の魚達と比べて激しく、そして強かったので、すごくおどろいた記憶が鮮明に残っております。この時はあまりの感動に約1時間程観察を続けていたのですが、当時の私は、彼らの住処への強い思いに、いとも簡単に自然を破壊し守るということをしない人間の小ささを思い知らされた、とっても心に残るダイビングとなりました。

 それから3年半の月日が流れ、ひさびさに出会ったトウアカたち、やはり、彼らはせっせと住処の掃除をしております。私がカメラを持って近づくとこちらにニラミをきかせてきます。が、何故かあまり威嚇はしてきませんでした。3年半前と比べて私から殺気がなくなったのか! なんてことを考えたりしながら、レンズ(実際はデジカメなんで液晶なんですが)を通して彼らと思う存分戯れてまいりました。

 彼らのひたむきな行動が報われることを祈りつつ・・・(2004年1月)


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  1. 2006/02/12(日) 19:24:29|
  2. 海への讃歌
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海への讃歌 vol.41 ~5050の実力、ウミウシ格闘編~

No.1 ニシキウミウシ(色彩変異) 全長:約10センチ

No.2 Siphopteron nigromar ginatum(和名なし学名のみ) 全長:約3ミリ

No.3 シロタエイロウミウシ 全長:約3センチ

撮影場所:和歌山県田辺市 水深約15mメートル

撮影器機:オリンパスC-5050Z


 みなさまこんにちは。沖縄では早くも梅雨入りし、ここ田辺でもその前線の影響で雨模様の日が続いております。雨の日の海は太陽光が入らずやや暗いですが、陸上ほどは変化もなく、ましてや今回お届けするウミウシを捜索&観察するには、かえって他の魚に目を奪われないようなコンディション、つまり透明&透視度があまりよろしくない時のほうが、覚悟を決めてマクロダイビングができるので結構でいいもんですよ。実際に、これはめずらしい! というようなウミウシに出会う時って、たいていニゴニゴ(業界用語ですかね? 濁ってる海ってことです)の時が多い気がします。実は私こう見えましても、本来は大物大好き、ガンガン中層泳ぎまくりダイバーなんで、ちょっと透明度が良いと何か出るんじゃなかろうかと、あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロしてしまうくせがあり、結局大物もマクロもなーんも見つけられなかった、ということが多々あったりするのです。

 さてさて本題に入りましょう! 今回は海の宝石(?)と呼ばれるウミウシのご紹介です。ここ田辺では毎年冬から春にかけて、ウミウシ達がわんさか出てきて、その種類と言ったら半端ない数であります。ちなみに私が田辺に来てちょうど2年になり、その間ウミウシ達をせっせと撮影してきているのですが、2003年5月現在、未確認種も含めて約150種類ものウミウシに出会ってきました。この数が多いのか少ないのか(少ない訳はないと思いますが)は定かではありませんが、一度はまると間違いなく病みつきになるウミウシ探し!これはもう格言ですね! で、今回の3種は、150種の中でもなかなか味のある(ウミウシは魚にとって美味しくないらしいのですが)やつらで、ひとつずつ別々に紹介させていただきます。


d-41-nisiki.jpg

 まずはニシキウミウシです。このウミウシは季節や場所を問わず、さらに大きさは平均して10センチ前後と目立つので、比較的よーく出会います。しかしこのニシキにはいろんな模様のパターンがあり、特に今回紹介したのは、田辺ではめったに見られないタイプの模様をしております。これを綺麗な配色と呼ぶにはどうかと思いますが、毎日は食べたくないけどごくごくたまに食べたくなる、アメリカのアイスクリームのような(えらい偏見かな?)原色の強い毒々しい色が、なんとも言えずいいよーな気がしませんか?



d-41-siphopteron.jpg

 さて次に行きます。Siphopteron nigromar ginatumと言います。このウミウシは和名がまだついておらず学名(ラテン語)しかありません、ということはつまりめずらしいと断言してしまっても良いでしょう。もっともこやつの場合は数が少ないからめずらしいと言うより、その小ささから発見例があまりにも少ないので、めずらしいと言った方が間違いないでしょう! 大きさは、なんと3ミリしかありません。見つけたと思ってもふと目を離してしまうと、どこにいるのか分からなくなる程です! さらに残念ながら肉眼ではこの画像のようにはまず見えません。マクロレンズ使って撮影し、陸上に帰ってモニターで見て喜ぶ! これこそ変態ウミウシダイバーの王道です。おナスのヘタのような頭部がとっても愛らしいウミウシなのですよ!



d-41-sirotae.jpg

 そしてラストは、今シーズン田辺で大量発生中の、シロタエイロウミウシです。白を基調としたウミウシは何種類かいますが、その中でもこのウミウシが一番美しいのではないかと思います。わずかに薄緑色に染まったヒラヒラの白い縁取りに半透明のボディー、そしてなんといっても、二本の触角のすぐ下にあるホワイトハートが、見ている我々を幸せな気持ちにさせるではありませんか! 大きさは小さいやつでも3センチはあるので、肉眼でもハートはばっちりです! まさに一見の価値あり!みなきゃ損するウミウシなのです。

 と、このように私はあまり学術的にはウミウシを見ておりません。とうてい人間には真似のできない、自然界の創るウミウシ達の形や色は、あんまり蘊蓄をたれるよりも、いや~すごいな~、変わってるな~、なんじゃこりゃ~、と、漠然と感じるのが一番ではなかろうかと思っております。みなさん、もし今日これを見て、少しでもウミウシという生き物に興味を持っていただいたなら、ぜひ私と一緒にウミウシを探して見ませんか? 絶対病みつきになりますよ~。あ、先程も言いましたが私は本来、大物大好き、ガンガン泳ぎまくりダイバー、なのですが・・・ではまた。(2003年6月)


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  1. 2006/02/11(土) 19:29:40|
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海への賛歌 vol.40 ~5050の実力、クリムシ格闘編~

オオウミシダトウマキクリムシ 大きさ:約5mm 和歌山県田辺市 水深:約12m


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画像No.1

撮影器機:オリンパスC-5050Z +イノンUCL165+YS60
 
マクロモードにてマニュアル撮影 F 8.0 SS 1/800



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画像No.2

撮影器機:オリンパスC-3040Z+イノンUCL-330 ×2枚+ライトキャノン
 
マクロモードにてマニュアル撮影  F 4.0 SS 1/100


 みなさま、たいへんたいへんご無沙汰しております、ご機嫌いかがでしょうか? この「海への讃歌」のメールマガジンを書かせていただくのは実に4カ月ぶりで、いつも読んでくださっているみなさまの中には、もう書くのをやめてしまったのかとお思いになってしまった方や、早く次のを送れとお叱りのメールを下さった方など、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。長らくの沈黙に特別な意味は全くなく、かといって書くのが億劫になった訳でももちろんなく、書こう書こうと思っている間に、あれよあれよと月日が流れてしまった。ただそれだけなのです。ほんとうにごめんなさい。

 こうなってしまうと再び書くタイミングというのがとても難しく、なにかきっかけがないかと思っていたところ、私の勤めるダイビングサービスのゲストの方が、持ってきた最新のデジタルカメラで撮影したものを見せてくれて、その画像の美しさに感動してしまい、思わず私もこれは負けてられへんと購入、そして激写、これは伝えなけば、とあいなりました。これを機に「海への讃歌」復活宣言をいたします。それくらいすごいんですよ、このデジカメ。正式名称はオリンパスC-5050ZOOMと言います。

 さて、そのデジカメの実力なんですが、細かいカメラの説明は抜きにしましょう! あんまり専門的な事をつらつら書いても全く面白くないです。それより画像を見ていただき、単純に感じていただければそれが一番だと思います。今回の被写体はとてもなが~い名前で「オオウミシダトウマキクリムシ」と呼ばれる生物です。オオウミシダ=大きいウミシダ、トウ=塔、マキ=巻き、クリムシ=??? つまり、まあその、ブルーにイエローのラインがきれいな貝なんですよ(ほんとええ加減ですんません)。オオウミシダの根本部分に付着しており、大きさはなんと約5ミリで、肉眼では限りなく目の前に近づけて見てみないとその美しさは全く分からず、遠くからだと少し色の付いたコメ粒のようです。という訳でマクロレンズを付けて撮影したのですが、画像No.1が最新式デジカメC5050で撮影したもの、画像No.2が今まで使用していたデジカメC3040で撮影したものです。みなさまにお届けするのにあまり重いといけないので二枚とも画像の解像度は思いっきり下げていますが、それでも違いが分かっていただけると思います。

 No.2の方が4個体並んでいて構図としてはええ感じなので、私は実はこちらの方が気に入っているのですが、今回は貝自体の写り方の違いだけを見て下さい。No.1のクリムシさんのほうが細部までくっきり写っており、しかも画像自体に奥行きがあるのが分かりますか? それに比べてNo.2はなんとなく画像全体が平べったい感じがしませんか? 分からない方、まだ買ったばかりなのでいまいち撮影に慣れていなくて、と言い訳さしていただいてもよろしいですか?実は本音を言うと被写体の選択を間違ったような気がしているのですが、早く5050で撮った画像を見せびらかしたくて、半ば強引に載せちゃいました、すみません。今後はこれよりもさらにすんごい画像をお届けできるはず・・・です。(2003年5月)


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  1. 2006/02/10(金) 19:37:15|
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海への讃歌 Vol.39 ~柏島レア物探索 No.3 フリソデカルテット~

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フリソデエビ4個体、食事中。

撮影場所 高知県幡多群大月町柏島 「後浜3番ブイ」 水深14メートル

撮影器機 カメラ:オリンパスC-3040 ハウジング:PT-010
 
ストロボ:無発光 ライト:ライトキャノン マニュアル撮影 f:2.8 ss:1/100


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  1. 2006/02/09(木) 19:39:14|
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海への賛歌 vol.38 ~柏島レア物探索 No.2 日の丸背負ったイザリウオ~

ヒメヒラタイザリウオ 魚類アンコウ目イザリウオ科 全長約5センチ

ポイント名 高知県幡多群大月町柏島 「後浜1番ブイ」 水深20メートル

カメラ:オリンパスC-3040 ハウジング:PT-010

ストロボ:無発光 ライト:ライトキャノン

マニュアル撮影 f:2.8 ss:1/100


 みなさまこんにちは、ご機嫌いかがですか? はやいもので今年もすでに残り一ヶ月をきりました。今年はみなさまにとってどんな一年だったでしょうか? 私は田辺での生活も二年目に突入し、ここでのダイビング本数も1000本を超え、ますますこの海の魅力にどっぷりつかっております。しかし最近は寒くなってお客様の数もめっきり減り、潜る回数が減ってきましたので、そんな時は専らパソコンに向かい水中映像製作に励んでおります。そしてついにこの度、「hymn for the ocean ! ~海への讃歌~南部・田辺 編」と題して今年一年間撮りためたものを編集したビデオが完成しました。ビデオカメラの性能があまり良くなくて(撮る腕は一級品なんですけどね???)最高の傑作にはほど遠いですが、一応ナマイキにも販売をさせていただくことにしました。軽快なジャズを聞きながらの60分間、おやすみ前のリラクゼーションには持ってこいですので、もしよろしければぜひ買って下さい。値段はお安く二千円(税込、送料プラス三百円)に設定してますので、欲しい方は住所・電話番号・名前を書いて私までメールして下さい。


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 さてさて営業はこれくらいにして、今回の生物のご紹介とまいりましょう! 前回に引き続いて、10月末に訪れた高知県柏島のレアもの生物のお話です。ダイバーに人気の魚のひとつにイザリウオというのがございまして、なんとも愛嬌のある形と、人間の手のような腹鰭を使って岩場などを這うように泳ぐ様がとっても面白い生物です。アンコウ目に属しており、口の少し上についているイリシウムと呼ばれる釣り竿状の棘と、その先についているエスカと呼ばれる疑似餌状の物を使って獲物をとらえる習性が知られており、イザリウオの仲間を観察していると、たまにこのイリシウムとエスカをぶんぶん振りまくって釣りを楽しんでる(?)様が見られたりするんですが、実際に獲物を釣って食べている所は、残念ながらまだ見たことがありません。

 そして、そんなイザリウオ科の中で、レア中のレアなのがこのヒメヒラタイザリウオです。実は恥ずかしながら私はこのイザリウオの存在を、柏島で彼と出会うまで全く知りませんでした。と言うのも、私の持っている数冊の図鑑には掲載されていない種類で、さらにこのヒメヒラタは今のところ柏島でしか生息が確認されていないそうです。これだけでもほんとうに柏島のすごさが伝わってくると思いませんか?

 特徴としてまず揚げられるのは、普通のイザリウオより平べったいこと・・・そうか、ヒラタと言うのは「平たい」ところから来ているんですね、ふむふむ。ダイバーの方はご存じかと思いますが、ハダカハオコゼという魚がいて、これまた葉っぱのように平べったい魚なんですが、かなりこれに近い感じです。そして次に揚げられる特長は、お腹のやや後方に赤い斑点があるところです。最初に見た瞬間この斑点が真っ先に目に飛び込んできて、なぜかそこから日の丸を連想してしまい、彼はなにかとても立派なものを背負ってる気がして、思わず心の中で「謹んで撮影させて頂きます」と言ってしまいました! 残念ながらイリシウムやエスカの確認は出来ませんでしたが、最後にとても面白いパフォーマンスを見せてくれたのです!

 それは撮影後の事です。私がその場を去ろうとすると、突然ヒメヒラタが水中を泳ぎだしました。もちろんイザリウオも魚ですから泳ぐことはできるのですが、尾鰭と腹鰭の後ろについた噴水穴から水を噴きだしてふらふらとゆっくり泳げる程度で、あまり泳ぎの得意な魚ではありません。ですがこのヒメヒラタは、まるでチョウが羽ばたくように、その平べったい体全体を激しくくねらせとても素早く移動していくではありませんか! 見ていて痛々しいくらいその必死さが伝わって来ました・・・やはり背負っているのが日の丸ですから、こんなところでバシャバシャ撮影している能天気ダイバーごときに捕まっては日本の名折れと思ったかどうかは定かではありませんが、そうやって、私の目の前から去って行ってしまったのです・・・さらばヒメヒラタ、また会う日まで。(2002年12月)



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  1. 2006/02/08(水) 19:41:17|
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海への賛歌 vol.37 ~柏島レア物探索 No.1 いにしえの勾玉~

マガタマエビ(シラヒゲウニに共生) 全長5ミリ

ポイント名 高知県幡多群大月町柏島 「ひょっとして勤崎?」

水深 10メートル

カメラ:オリンパスC-3040

ハウジング:PT-010

レンズ:UCL-330×3枚

ストロボ:無発光

ライト:ライトキャノン フルオート撮影


 みなさまこんにちは、ご機嫌いかがですか。ここ田辺は水温も下がり、ドライスーツやロクハン(6.5ミリのウエットスーツです)なしでは、潜れない季節となってまいりました。でもこれからが田辺の面白い季節なんですよ。なぜなら、浮遊物がなくなり透明度が良くなるので、オオカワリギンチャクの群生をはじめとする田辺のワイドが堪能できたり、私の大好きなウミウシ達がわんさかでてくるからなんです。今年はどんなウミウシと出会えるのか。今から楽しみでわくわくしております。

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 さて今回なんですが、田辺の生物達には少しお休みいただき、先月末に訪れた高知県の柏島で出会った生物を紹介したいと思います。近年雑誌などで頻繁に紹介され、数々の人気生物と出会える海と評判になっていますが、もともとアクアリストに人気の魚や水族館に展示してある生物の採集場として、知る人ぞ知る場所だったのです。そんな柏島に遅まきながら初めて行ってきた感想は、噂に違わずすごいところで、こんな海が日本にあっていいのかと思うくらい驚きの連続でした。私が以前に働いていた奄美大島南部の大島海峡もかなりすごい海だったのですが、この柏島はそれを上回るくらいすばらしく、マレーシアはボルネオ島近海にあるマクロ生物の宝庫マブール島を彷彿とさせ、日本のマブールと呼ぶにふさわしい所でした。

 ここで念のために言っておきますが、柏島が素晴らしいからといって奄美大島南部や、私の愛する田辺が良い海ではないと言っているのではありません。それぞれの海にそれぞれの良さがあり、今回の柏島訪問を経て、田辺の良さがどこにあるのかがさらに分かってきたし、そのことが私の本業(水中ガイドという職業)に活かせればと考えている訳です。よってこれからの私の田辺でのガイド、ますますええもんになりまっせー。

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 さあ本題に戻りましょう。日本のマブール、柏島での第一段は、私がここ数年で最も見たかったエビさんの紹介です。名前をマガタマエビと言いまして、とある図鑑でその存在を知って以来、私の見たい生物リスト、エビシリーズのナンバーワンに躍り出ておりました。古代の日本人の装飾品である勾玉(=まがたま)のような、とても神秘的な形と模様を持ったエビさんであります。図鑑によりますと、共生するシラヒゲウニを調べる回数は100や200をはるかに越え、やっとのことで見つけられたと書いてありました。私も田辺でシラヒゲウニを見つけては調べまくったのですが、残念ながらシラヒゲウニ自体が少なく、共生している生物を見つけたとしてもゼブラガニ(こいつもゼブラ模様でとてもカッコイイ)やテッポウエビの仲間(こいつは真っ黒でちっともかわいくないです)ばかり・・・。いったいいつ見られることやらと思っておりました。

 それが柏島にいたのです。柏島でもかなーりレアらしく、その存在を知っている人もそんなに多くないそうで、マガタマエビを発見したガイドの腕の確かさを強く認識するところとなりました。図鑑にも書いてあった通り、大きさはなんと5ミリ、しかもシラヒゲウニのトゲとよく似ているため、一度見失うとウニをじーっと見つめて約10分ほど探し直して撮影再開、こんな感じでどうにか激写してまいりました。二枚の写真を見てお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、格闘中マガタマ君の片腕がちぎれてしまいました。もちろん僕が触ってちぎったのではありませんが、なーんとなく悪いことしたなあと反省してしまいました。「ごめんなさいねーマガタマくん、今度はもっとうまく撮るからねー。それまで、柏島でええ子にしてておくれよー。」と、マガタマくんに別れを告げ、一路和歌山に帰る私でした。なんのこっちゃ・・・。(2002年12月)


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  1. 2006/02/07(火) 05:26:26|
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海への賛歌 vol.36 ~田辺初、感動の大発見!~

ヤシャハゼ:魚類スズキ目ハゼ科 10センチ

共生エビ:ランドールズピストルシュリンプ 3センチ

ポイント名:田辺「南部出しsp.」 水深20メートル

カメラ:オリンパスC-3040 ストロボ:無発光

ライト:ライトキャノン プログラムオート撮影

 みなさまご無沙汰しております。前回のこのメルマガが9月の初めごろでしたから、約2ヶ月ぶりになりますね。結構間があいてしまい、誠にすみません。これからは仕事の方も水温の低下とともに少しずつひまになり、時間に余裕ができてきますので、これからはちょくちょくメルマガを送りたいと思います。送りたい画像がいーっぱいたまってますんで、楽しみにしていて下さい。

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 今回のお話は、紹介する生物についてというより、それを撮影した場所がキーポイントです。先に生物の説明をしておきますと、名前をヤシャハゼといいまして、エビと共生(エビさんが掘った穴に一緒に住んでおり、ハゼは穴の見張り番の役目をしております)するハゼ類の中でも、白に赤のラインが一際目立つ、見た目抜群のかっこいいハゼです。そして一緒に住んでるエビ(ランドールズピストルシュリンプ=ランドールさんが命名したテッポウエビという意味かな?)も紅白の縞模様で、双方体色がとても似ており、まさに相思相愛のカップルなのです。

 さてこのヤシャハゼ、奄美大島や沖縄などでは比較的よく見るられるハゼなんですが、和歌山県での発見例はいままで串本で1個体のみだったと記憶しています。そして、ここからが本題なのですが、この辺りではとてもめずらしいヤシャハゼさんが、約一月ほど前、正確に申しますと2002年9月24日(火)午後1時17分28秒、つ、ついにここ、私の愛する田辺の海で、しかも、私の目の前に初めて現れたのです!発見場所は「南部出しsp.」というポイントの砂地、水深約20メートルで、ここは今年の4月ごろからいろんな共生ハゼがいるので使い始めたポイントです。そこは根を降りると広々とした砂地が広がっており、もしかしたらネジリンボウやヒレナガネジリンボウ、オニハゼ(全て共生ハゼです)にまじって、ヤシャハゼなんかがいたらいいなあとは思っていたのですが、まさか、その姿を拝むことができるとは、驚き以外のなにものでもありません!

d-36-randol.jpg

 実際串本にも出現し、昨今の地球温暖化現象で海水温の上昇が伝えられる中、田辺に現れても不思議ではなく、さらに見つかった個体は私がいままで見てきたヤシャハゼの中でもサイズが大きいので、卵の状態でこの田辺に流れ着いたのはおそらくずいぶん前(私の予測ですと数ヶ月以上前)になると思われます。それらを総合して超楽観的に考えると、このヤシャハゼは田辺の冬の寒さにも耐えることができる通年魚の仲間入りを果たせそうなのであります。これで、この田辺にアイドルがひとつ増え、今のところ1個体しかいないと言うことで愛着がすごく沸き、生態観測という点においても貴重な彼の存在を、とても大切にしようと思っている今日このごろなのでした。(2002年10月)


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  1. 2006/02/06(月) 05:30:05|
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海への賛歌 vol.35 ~うずまき?とロボコップ?~

No.1 タテジマキンチャクダイad(成魚) 魚類スズキ目キンチャクダイ科 30センチ

No.2 タテジマキンチャクダイyg(幼魚) 魚類スズキ目キンチャクダイ科 3センチ

No.3 タテジマキンチャクダイygad(若魚) 魚類スズキ目キンチャクダイ科 15センチ

ポイント名 No.1=和歌山県南部&田辺「南部出し」 No.2=「ショウガセ」 No.3=奄美大島南部「嘉鉄」

撮影データ:オリンパスC-3040ZOOM 内蔵ストロボ強制発光  プログラムオート撮影

 みなさまこんにちは。やはり夏場になると仕事の方も稼ぎ時で忙しく、この企画をみなまさにお伝えする機会が減ってしまうことを誠に申し訳なく思っております。さて、今年の田辺は台風の影響をかなり受け、潜れない日も結構あったりしているのですが、例年に比べ(といっても私がここで働きだしてまだ2年目なのですが・・・)透明度がすこぶる良く、マクロが好きな私でも、これだけ海が綺麗だとワイドに浮気してしまっている毎日です。この透明度がいつまでもずっと続いてくれれば、田辺の海の魅力に引きつけられて、放浪癖のある私もここに落ち着いて田辺の海を撮り続けていこうかなんて、がらにもないことを思っている今日この頃であります。

d-35-tatekin-ad.jpg

 さて今回のお魚さんですが、見れば必ず「かわい~」と叫んでしまう、通称「うずまき」ことタテジマキンチャクダイの幼魚と、思わず「かっこい~」と叫んでしまう、「ロボコップ」ことタテジマキンチャクダイの成魚です。もちろんこの二匹は同じ種類で、白と黒と水色の配色がうずまきのようになっているかわいいかわいい子供が、な、なんと黒いマスクを被った派手な悪役覆面レスラーのような大人になってしまうのです。恐らくこの魚は学生時代非行に走り、そしてそのまま間違った道に進んでしまったに違いありません。「子供の時はあんなにかわいかったのに・・・」とつぶやく、隣のオバサンの声が聞こえてきそうな変わり様なんです。

d-35-tatekin-yg.jpg

 とまあ、くだらない話はそれぐらいにして、魚の世界では、幼魚と成魚の模様や配色が違うなんてことは実はよくある話で、幼魚の頃はこのタテジマキンチャクダイのように、おおよそどこに目があるのか、どっちが前でどっちが後ろなのか分からないような魚が多いのです。これは一般に擬態と呼ばれるもので、目くらましをすることで外敵から身を守るという、幼き生命が生き残る術なのであります。擬態の方法にもいろいろありまして、例えば水中に生えている海草やカイメン類そっくりにカモフラージュするタイプもあれば、わざと派手な模様で外敵を警戒させる(警戒色と呼んでおります)タイプもおり、この魚の場合は後者にあてはまるという訳です。

d-35-tatekin-ygad.jpg

 で、No.3の画像はタテジマキンチャクダイの若魚なのですが、ちょうど幼魚から成魚になる中間の状態です。3枚全て比べていただければ分かると思いますが、若魚は幼魚と成魚両方の模様がはいっています。幼魚時代のうずまき部分が次第に黄色に変色し、直線になっていこうとしているのが分かりますでしょうか?どちらにしても中途半端なはっきりとしない模様です。これはつまり人間で言うところの、ある程度体だけは成長し、精神的にはまだまだガキんちょな、ちょうど高校生から大学生ぐらいの、人生に於いて最も無責任で無鉄砲な年頃だと思われます。この若魚の画像は2年ほど前に、前の仕事場所である奄美で撮影したものですが、ちょろちょろ動き回って、撮るのにとても苦労したことを今でもよーく覚えております。(2002年9月)


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  1. 2006/02/05(日) 05:55:16|
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海への賛歌 vol.34 ~ネジリンカルテット~

d-34-01.jpg

ネジリンボウとヒレナガネジリンボウ 魚類スズキ目ハゼ科 7~10センチ

ポイント名 和歌山県田辺「南部出しsp.」 水深20m

カメラ:オリンパスC-3040 ストロボ:内蔵ストロボ強制発光 フルオート撮影

 みなさんこんにちは、お久しぶりです。ここ和歌山県田辺では、最近頻繁に発生している台風の影響で潜れない日が続いております。幸い直撃はまぬがれておりますが、何千キロも離れた所から伝わってくる「うねり」のせいで海の中まで揺れており、ひどい時には水中の砂が舞い上がり透明度が大変悪くなってしまうので、そんな時はほんとまいってしまいます。さて、一ヶ月以上もこの企画をみなさまにお伝えすることができず、誠に申し訳ございませんでした。台風の影響で撮影できない日が結構あったり、撮影できても写真自体が今ひとつパンチに欠けているものが多かったりで、月日が知らず知らずのうちに経ってしまいました。

 しかし、ついに、みなさまにお伝えできる面白い写真が撮れたんです! 私の勤めているダイビングサービスのホームページをご覧の方は「本日のログ」でご覧になったと思いますが、これは結構すごいですよ! 題しまして「ネジリンカルテット」です。さあ、説明にまいりましょう!

 まず、見ていただければお分かりのように、白と黒のストライプが特徴の、ネジリンボウというダイバーにとっても人気のあるハゼが、な、なんと4匹も写っています。彼らは共生ハゼと呼ばれ、エビさんが掘った巣穴に一緒に暮らしており、この4匹も同じひとつの巣穴からでてきています。私もいろんな共生ハゼを見てきましたが、普段我々ダイバーが見られるのは一つの穴から多くても2匹で、3匹見られたらラッキーという感じなのです。ですがこれは、4匹もでているんです。このような経験はハゼを見てきて約6年、ほんとに初めての瞬間です。

d-34-03_1.jpg

 最初見つけた時は2匹(おそらくペアでしょう)しか出ていませんでした。しかし、しばらく観察していると、まず3匹目があたりを伺うようにゆっくりでてきて、その後4匹目が最初は頭だけ出してじっとしていたのですが、思い切ったように穴から飛び出し、このように4匹、ゆらゆら並んで泳ぎ始めたのです。彼らは水中に漂うプランクトンを捕食するため、このような行動をとっているのですが、この時は少し流れがあり、エサが捕りやすい状況だったとはいえ、この瞬間に出会えたことは本当に貴重だと思います。私は当時かなりの興奮状態で、もしもこの緊張がハゼに伝わってしまったら、巣穴に逃げ込まれる恐れがあるので、必死でドキドキしている自分を押さえながら、どうにか撮影できる距離までゆっくりゆっくりホフク前進し、近づいて行った事は、今でも鮮明に記憶に残っています。

 しかも最初は興奮しすぎていて全く気付かなかったのですが、この4匹のうち、一番左の1匹だけがネジリンボウで、あとの3匹はヒレナガネジリンボウなのです。なんのこっちゃとお思いでしょうが、実は各個体の背ビレを見ていただければ、一番左のだけが他のと違い丸みを帯びた形をしているのが分かると思います。この個体をネジリンボウといいまして、あとの3個体はヒレナガネジリンボウという別種なんです。

 ですが、このように同じ穴から出てきて、仲良く一緒に泳いでエサを食べている様を見ていると、もしかしてネジリンボウとヒレナガネジリンボウって、実は違う種類の魚ではなく、お互いに交尾可能で、子供はどちらにも生まれてくる可能性があるのではないだろうか? なんて思ってしまいます。この辺りの見解は学者先生にお任せしますが、ネジリンボウだの、ヒレナガネジリンボウだの、勝手に名前を付けているのは人間様で、ネジリンボウ達にとっては「ヒレが長かろうが丸かろうが、そんなことはたいしたことではないよ。みんな仲間なんだよ」って言ってる気がしてなりません。海は広く、その向こうに感じる大宇宙は無限であるという、私のダイビング哲学によりますと、彼らはまさしく「ネジリンカルテット」なのです。(2002年7月)


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  1. 2006/02/04(土) 06:03:12|
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海への賛歌 vol.33 ~日本のベストオブハナダイ~

d-33-sakuradai.jpg   d-33-02.jpg

サクラダイ Sacura margaritacea 魚類スズキ目ハタ科 約15センチ

和歌山県田辺「ショウガセ」 水深37メートル

No.1 カメラ:オリンパスC-3040 内蔵ストロボ強制無発光 
    ライト: LX55 マニュアルモード f2.8 ss1/150

No.2 カメラ:オリンパスC-5050 レンズ:UWL-100ドームレンズ
    ストロボ:YS-90DX Mモード f6.3 ss1/100


 みなさんこんにちは、お元気ですか? 今年は気温と水温の上昇が例年以上に早く、まだ梅雨入り前だと言うのに、晴れている日なんかはすっかり夏模様です。僕がここ田辺に来てちょうど一年になるのですが、昨年の今頃と比べても、海の中の生物達の数や種類がとても多いように感じられ、今年の夏は昨年以上に楽しい毎日となりそうです。このメールマガジンを読んでくださっている方で、まだ田辺の海が未経験の方、ぜひこの夏(秋のうほうがさらにいいかなあ?)遊びに来てください。海も陸も損はさせませんよー。潜って、撮って、食べて、飲んで、語りあいましょう。

 さて、今回はサクラダイと呼ばれるお魚さんの紹介です。サクラダイと聞きますと、ダイバーでない方は真鯛の稚魚の「桜鯛」のことが思い浮かぶかもしれませんが、このサクラダイはハタ科に属しており、その中でも特に色彩が美しいハナダイと呼ばれる仲間の一種で、食べる鯛とはちと違う種類なんです。基本的に魚の和名にはいいかげんなものが多く、名前と実際の分類のつながりという観点から見ると、あまり当てにしないほうが良いというのが結構多いんですよ。

 難しい話はそれくらいにして、まずはNo.1の画像ですが、このサクラダイはずばりオスです! ハナダイの仲間は圧倒的にオスのほうがハデで美しく、これはつまりメスの気をひくためだという説が有力なのですが、このサクラダイも例にもれず、メスはオレンジ一色で背中に黒い斑点があるだけで、大きさもふたまわりくらい小さいです。オスはご覧のように赤と白のツートンカラーのボディイにピンク色の斑点が散在しているのですが、これがまるで桜吹雪のように見えるところから、「サクラダイ」という名がつけられたそうです。

 先ほど和名にはいいかげんなものが・・・などと書いてしまいましたが、このサクラダイのように体の模様にとてもマッチした、大変ワビサビを感じる名前がつけられている魚もおり、なんか日本の心ここにありみたいな気がする訳なんです。そして、お気づきになった方もいらっしゃるかと思いますが、No.1画像のバックには、前回お伝えした世界的にも貴重なオオカワリギンチャクの群生が写っているのです。黄色のイソギンチャクのまわりを泳ぐ桜吹雪のサクラダイ、この風景は世界中探してもここ和歌山の海にしかない景色なのです。

 そして、No.2の画像ですが、そのイソギンチャクの群生を通り過ぎたところにトップが水深30メートル、水底が50メートルというかな~りディープな根があり、そこにはご覧のようにサクラダイたちが群れているのです。船のイカリからは結構距離があり、しかも深いので、コンディションの良い時にしか行くことができませんが、群れて泳ぐサクラダイたちがまるで春の嵐に舞う桜吹雪のような、とても美しい世界が広がっているのです。日本では美しいハナダイがほかにも何種類かいますが、名前とこの桜吹雪の前においては、サクラダイこそが日本のベストオブハナダイと呼ぶにふさわしいと断言できます。(2002年6月)


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  1. 2006/02/03(金) 06:04:59|
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海への賛歌 vol.32 ~世界でここだけ~

d-32-ookawariginchaku01.jpg

オオカワリギンチャクの群生 学名:Halcurias sp.L

ポイント 和歌山県田辺「ショウガセ」 水深 37メートル

上段 カメラ:ニコノスV レンズ:UWマイクロニッコール15ミリ
   ストロボ:YS-300 1/2 発光 f5.6 ss1/30

中&下段画像 カメラ:オリンパスC-3040 ストロボ:発光禁止
       ライト:LX55 マニュアル撮影 f2.8 ss1/150


 いつも、この「海への賛歌」メールマガジンを読んで下さっている皆様、誠にありがとうございます。今回はいつもより少し改まった書き出しにしてみました。というのも、この度皆様にお伝えさせていただく生物が、昨年田辺で働き出してから私が、ずっと伝えたくて伝えたくてしょうがなかったモノだからなんです。そしてついに、苦節(ってほどでもないですが)約330日、みなさまにお見せできる(自分の主観的な判断ですのでご了承下さい)写真が撮れました。この生物について、私が知ってる限りのことをお伝えさせて頂きます。恐らくいつもより少し長くなると思われますので、のんびり、ゆっくり読んでいただければと思います。

 今回ご紹介させていただく生物、まず、名前は「オオカワリギンチャク」と言います。一般的にイソギンチャクと呼ばれる生物の仲間で、正確には刺胞動物門・花虫綱・六放サンゴ亜綱・イソギンチャク目・内腔亜目・カワリギンチャク類・カワリギンチャク科に属しております。ここで、イソギンチャクとは一体どういう生物なのかを簡単に説明しておきますと、実はクラゲやサンゴとかなり近い存在で、水中をふわふわ漂いながらエサを食べて生活しているクラゲを、逆さまにして地面にくっつけるとイソギンチャク、そしてそのイソギンチャクを小さくして集め、それらをくっつけた物がサンゴとなるのです。少々学術的には無理のある説明ですが、おおまかに分かりやすく言えばこのようになります。そしてこのオオカワリギンチャクですが、ご覧のように全身レモンイエロー色をしておりまして、実は他のイソギンチャクと決定的に違うところがあり、それは体に斑点が全くないというところだそうです(イソギンチャクガイドブック参照)。他にも学術的にイソギンチャクの仲間とはかなり違うところがあるらしく、ここではこれ以上難しい説明は省きますが、とにかくイソギンチャクの中でもかなり変わったタイプらしいのです。

d-32-ookawariginchaku02.jpg

 そして、なんといっても特筆すべきなのは、このオオカワリギンチャク、実は和歌山県のごくわずかなせまーい地域でしか発見例がないらしいのです。当初駿河湾などの水深100~150メートルに生息しているカワリギンチャクと同種という意見もあったようですが、最近の研究では別種という結果が出ており、つまり、言っちゃいますと、世界中でこのあたりの海でしか見ることができないという訳なんです。しかも、画像を見ていただくと分かると思われますが、撮影した「ショウガセ」というポイントにはこのイソギンチャクが大群生しています。正確には計っていませんが20~30メートル四方の所に、5センチくらいの小さい個体から、15センチくらいの個体まで、まるでお花畑のようにあたり一面に群生しているのを見ることができます。私の知る限りでは、これだけの数が密集しているのは恐らくここだけでしょう!

 残りの二枚はいつものデジタルカメラで撮影したものですが、注目していただきたいのが、アップで二個体写っている真ん中の画像です。この個体は枝のような(ヤギ類といいます)ものに登って(くっついて)おり、図鑑によるとエサをたくさん捕るために自ら移動するイソギンチャクもいるらしく、もしかしてこのオオカワリも自分で登ったのではないでしょうか? 彼らが移動しているところを見たことがないのであくまで推測にすぎませんが、夜の間にオオカワリの全ての個体が明日のエサのために、場所取り合戦を繰り広げていたりして、な~んて考えると面白く、そして少し恐ろしい気がしますね。また今回の画像はどれも触手を伸ばしていますが、たまに触手を縮めて黄色いお団子のように丸くなっている時もあり、それもまた愛らしいくてとてもいい感じがします。

d-32-ookawariginchaku03.jpg

 さてここからは画像の説明をさせていただきます。まず一番上ですが、ニコノスVというカメラで撮影したものです。このカメラは絞りやシャッタースピードなど、ほとんどがマニュアルで設定しなければならず、しかもフォーカスも目測で、言ってしまえば当てずっぽうに撮らなくてはなりません。私にとっては初めて持つ銀塩カメラで、デジタルカメラのように撮った画像をその場で確認することもできませんので、この一枚を撮るのに時間とフィルムをかなり使いました。しかも正直に言いますと、たまたま良かった透明度のおかげで撮れた偶然の産物に近く、いまだかつてこれを超える写真は撮れていないのが現状です。そんな訳で、恐らく一生記憶に残る一枚となりそうです。

 とにかく、この鮮やかなイソギンチャクの群生は見る者全てを魅了してやみません。透明度が良い時に根の上からゆっくり潜降していくと、下の方に黄色い絨毯が広がっているのがうっすらと見えてくる光景は、他のどこでも味わえない、ここだけの特別なものなのです。この世界的にも貴重なオオカワリギンチャクの群生、それを観察できるところで働くことを決心した私は、このイソギンチャクを守り、いろんな人に知ってもらうために撮影をし続けるという使命感みたいなものさえ湧き出て来ています。少しおおげさですけど、なんかひとつくらい、そういう気持ちにさせてくれるものがある海で働けるというのは、この上ない幸せな訳なんです。(2002年5月)


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  1. 2006/02/02(木) 06:09:19|
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海への賛歌 vol.31 ~イルカと泳ぐ~

d-31-dolphin.jpg

イルカ (何イルカだったか忘れました) 約150センチ

ポイント名 パラオ「ドルフィンパシフィック」 水深約5メートル

カメラ:ニコノスV  レンズ:UWマイクロニッコール15ミリ 自然光

 みなさま、こんにちは。ご機嫌いかがですか? 最近私は大阪のダイビングショップのお手伝いで、ここ3週ほど平日の3日間はダイビングの講習をしております。なんでもそのショップが今年から海洋関係の専門学校と提携したらしく、そこの生徒達約150人程が授業の一環としてダイビングの講習を受けることになり、講習の開催場所がうちのサービスの近くの海ということもあり、私が手伝うことになったのです。うちのサービスではほとんど講習がないので、この仕事はすごく新鮮で、また久しぶりに味わう教える喜びにすっかり酔いしれておる次第であります。もともと私がこの仕事に就くきっかけとなったのは、海の生物がどうこうというより、ダイビングという行為を人に教えているインストラクターにあこがれてなった部分がほとんどだったので、本当に今回のこの期間は、私にとってとても充実した日々となっています。

 さて、前回のメールでお伝えしたかと思いますが、今月の初旬私はパラオに行って来ました。ダイビングを始めて6年、今までいろんなところで潜って来ましたが、今回ようやく初めてダイバー憧れのパラオに行くことができました。期待が大きいとたいてい裏切られるのが世の常だと思っていた私ですが、このパラオという所は、本当に素晴らしいところで、何が特別素晴らしいというのではなく、海はもちろん陸の雰囲気も全てが平均してとてもいい感じで、それが相乗効果となって私の全身に降り注いでいる、そんな感じのするところでした。なんのこっちゃ分かりますかねえ? とにかくめっちゃ良かったってことです。はい。

 そして、このイルカくんはそんなパラオでの最終日に行った、ドルフィンパシフィックというイルカの施設でドルフィンスイムをした時に撮影したものです。その施設は島の入り江になっているところを囲い、そこでイルカを飼育、研究している施設で、イルカに対する飼育方法などは賛否両論いろいろあるみたいで、ここで明言するのはやめておきますが、とにかく見た感じではかなり自然に近い環境でイルカが飼育されており、イルカにとっても、そして撮影する環境としてもなかなか他にはそうないくらい良い所でした。スイムということで、フィン、マスク、スノーケルの3点セットで潜りながら撮影させてくれるのですが、イルカと一緒に泳いでいると自分が息を止めていることを忘れるくらい長く息が続き、体中の細胞が直に海と、そして目の前を泳ぐイルカと繋がっている、そんな心地よい感覚がたまりませんでした。そしてスタッフの終了のホイッスルにも全く気づかず、あっという間の30分でしたが、ほんとうに人とイルカは心を通いあわせることができるのでは、という気にさえなってしまう、そんな時間を過ごしました。

 余談ですが、たまたまテレビの取材が来ており、某ダイビング指導団体のイメージキャラクターでもある広○涼子が来ておりました。イルカと泳ぐまでは生ヒロ○エにすっかり目を奪われてしまい、スタッフの説明も上の空で彼女を目で追いかけていたのは言うまでもありません。(2002年4月)


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中野大樹

Author:中野大樹
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